キャリア

【寄稿】東大出身者初のJリーガー・久木田紳吾さんの『文武両道のすゝめ』

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負けず嫌いだった僕が選択した道の理由

 
 僕は小学校3年からサッカーを始め、将来の夢はサッカー選手でした。

ですがその夢に対して全てをかけられる程、確固たる決意と自信を持つことができなかったし、学校でも成績で周りに負けたくなかったので勉強も頑張ってきました。結局その後サッカー選手になることができましたが、つくづく勉強をしっかりやってきて良かったと思います。

夢に対して確固たる決意を持っている人は信じてその道を進んだほうがいいと思いますが、僕のようにそうでない人たちには勉強との両立をおすすめします。僕がそう思うに至った理由は大きく3つあります。

第一の理由:倫理的思考と問題解決の糸口

 まず一つは論理的思考ができて色んな面で問題解決に役立ちます。

数学が嫌いな人の決り文句は「こんなのができて何の役に立つの」です。
実際、日常生活で因数分解や微分積分をしないからそういう考えになるのだと思います。確かに、因数分解や微分積分ができることそれ自体は多分ほぼ役立ちません。しかし数学の問題を解くその思考プロセスは絶対に役立ちます。数学の問題を解く時にはその具体的な問題を一旦自分の中で抽象化してシンプルな公式に当てはめて解きます。だから文系科目に比べて暗記量が少ないのですが、この具体的な問題を抽象化するプロセスはどの場面でも役立ちます。

例えば私はDFに転向してはじめの頃にクロスのクリアに問題を抱えていましたが、結局は良いポジショニングがとれていない→クリアの際に姿勢が崩れる→クリアを思ったところに蹴れないという流れであることが分かり、良いポジショニングを常に取り続けるようにしたらかなり改善されました。

教えられて強制的にそれをするのと、自分で気づいてプレーに落とし込むのでは結果的にパフォーマンスに差が出ます。それ以外にも特に理系科目では問題を解決する上での切り口を選択するセンスなども磨かれますし、もちろん文系科目も知識を増やすという意味で問題解決の引き出しを増やすことができます。

第二の理由:人生における選択肢は多い方がいい

 二つ目は、人生における選択肢を増やすことができます。

好きなことをやってお金を稼いで生きていければそれが一番ですが、それができない時やまたはやれたとしてスポーツのように若いうちしかできない場合は、他の選択肢が必要です。

僕もそうでしたが、人生において後からこれやりたい!と思うことは多々あります。でも自分には無理、とそこで思わなくてすむように勉強もできる限りのことをやっておくと後悔は少ないのかなと思います。

第三の理由:様々な感性に触れることができる

 最後の三つ目は様々な感性を持った人とつながれることです。

僕は東大生とJリーガーというある意味で両極端なコミュニティに属すことができましたが、両者は感性や文化の面でやっぱり明確に違いがあります、もちろん個人差はありますが。どちらのコミュニティからも刺激を受けて考え方の幅が広がったように思います。

さいごに

 
 以上、文武両道をおすすめする三つの理由を書いてきましたが、僕自身、勉強をやらずにサッカーだけに打ち込んでサッカー選手になれていたらもっと良い選手になれていたのかなと想像する時がたまにあります。

確かに勉強に割いてきた時間をサッカーの練習、身体のケア、コンディショニングに当てていたらもっと良い選手になれたはずです。ですが一つ言えることは高校生までの自分は自分を信じ切れなかったし、その分勉強を頑張ってきて良かったと思っています。

 スポーツに打ち込みながらも先が見えないな、と感じている学生がもしこの記事を読んで何か感じてもらえたら嬉しいです。

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